ダックスフンドの魅力といえば、その豊富なカラーバリエーションが
あげられます。
基本的な単色と2色に加えて、複数の模様に関するバリエーション
があるわけですから、その組み合わせは相当なものになります。
JKCに登録されている10万頭以上のダックスフンド達の毛色も、
拾い上げれば数十種類にも及びます。
そのすべてをご紹介することはとてもできませんが、ここでは、
実際に町で見かけるダックスフンド達の毛色について、
代表的なものをいくつか具体的にご紹介しようと思います。
●単色
レッド:
単色の代表的なカラー。
ほんの少し黒い差し毛があるものをシェーデッド・レッド、
赤褐色のものをマホガニー・レッドなどと呼ぶことがあります。
レディッシュ・イエロー:
赤みがかった黄毛色で、頭部から背~腰部にかけて、
または体の1/2上部は比較的赤みが強く発現しています。
特に春から夏にかけてはより濃くなり、黒い差し毛が多くなることもあります。
イエロー:
赤みの少ない黄毛色です。
頭部から背~腰部にかけて、または体の1/2上部は比較的濃く発現し、
胸部~腹部にかけてはやや薄い黄毛色になることもあります。
春から夏にかけてはより濃く、黒い差し毛が多くなることもあります。
他にチョコレートやイザベラ(カフェオレ色)、
JKCでは認められていませんが、ブラックやブルーなどもあります。
●2色
ブラック&タン:
2色の代表的なカラー。全体的なベースが黒で、目の上、あごの両側、下あご、
胸や尾の下などにタン(黄褐色)のマークが入っています。
チョコレート&タン:
ブラック&タンのベースの色がチョコレート色になったもの。
鼻や爪がレバー色になっていることが多く見られます。
ブラック&イエロー:
ブラック&タンのマークの部分がイエローになっているもの。
チョコレート&イエロー:
ベースがチョコレートで、マークがイエローになっているもの。
他に、ブルー&タン、イザベラ&タン、
ブルー&イエローやイザベラ&イエローなどもあります。
●ブリンドル
ベースとなる基本の色に、黒い差し毛がしま模様を作り出しているものです。
ベースがレッドならば
レッドブリンドル、イエローならば
イエローブリンドルとなります。
●ダップル
ベースとなる基本の色に、白っぽいまだら模様が広がっているのがダップルです。
ブラック&タンをベースにしたものが
シルバーダップル、
レッドをベースにしたものが
レッドダップルとなります。
他にもチョコレートダップルや、ブルーダップルなどもあります。
●パイボールド
JKCのスタンダードでは認められていないカラーですが、
アメリカではドッグショーなどでも活躍しているカラーです。
ビーグルやバセットなどを思い出させるような色合いで、
ベースとなる色に白いぶち模様が入っているのもです。
これも、ベースの色によって、
レッドパイボールドやブラック&タンパイボールドなどと呼ばれます。
●ダブル・ダップル
両親ともダップルの犬から生まれた子供はすべてダブル・ダップルとなります。
ダップルのまだら模様に加え、白のマークが表現されます。
このカラーは
非常に危険な組み合わせの繁殖で生まれてきたものです。
難聴や盲目、中には繁殖能力に問題があるなど、直接人の目では確認できない
重大な欠陥を持っている可能性が非常に高いカラーです。
●ワイヤーヘアーならではの色
ワイヤーヘアーのダックスフンドは、テリア系の犬と掛け合わせることで作出された
という経緯から、他の毛質のダックスフンドにはないカラーがあります。
ワイルドボア:
野生のイノシシという意味を持っています。
その名のとおり、くすんだ灰色に黒い差し毛で、まさにイノシシのようなカラーです。
ドライ・リーフ:
こちらも塩と胡椒と言うその名のとおり、黒と白が均一に混ざり合ったような色合いです。
ウィートン:
薄い黄色で小麦色。クリームと非常に似ています。
テリア種で使用されているカラーで、ワイヤーヘアーの場合こう呼ばれることがあります。
ここにあげたカラーは、比較的によく耳にするものです。
ダックスフンドのカラーは、本当にたくさんの種類がありますので、
そのすべてを紹介することはできません。
また、ダックスフンドの毛色については、
登録する人によってその表現方法にバラつきがあります。
中には繁殖者の経験不足から、正確な毛色の判定ができず、
実際の毛色とは違うものとして登録されていることもありますので、ご注意ください。
●毛質による性格の違い
それぞれ違った目的で、他犬種との掛け合わせが行われて、
作られてきた3種類の毛質のダックスフンド達。
見た目だけでなく、その性格もまた、それぞれの毛質により、
少しずつ異なるようです。
もっとも古くから存在するスムースヘアーのダックスフンドは、
3種類の毛質のダックスフンド達の基本となっている犬です。
とても陽気で明るく、活発なのが特徴と言えるでしょう。
動きが機敏で、遊び好きなところもあるようです。
スパニエル系の犬と掛け合わせることで生まれてきたロングヘアーのダックスフンドは、
その性格にもスパニエル系の特徴が現れています。
直接動物に攻撃をしない水鳥猟を仕事としていたため、攻撃性は低く、
穏やかでおとなしい性格をしています。
また、人との関わり方も強く、常に人のそばにいるのが好きな甘えん坊でもあります。
テリア系の犬との掛け合わせで誕生したワイヤーヘアーのダックスフンドは、
やはりテリア系の気質を持っています。
人から離れて単独で行動し、獲物を追い詰める仕事をしていたことから、
とても強い性格を持っています。
やんちゃで好奇心旺盛な犬と言えるでしょう。
ここで取り上げたそれぞれの性格は、その毛質に多く見られる傾向です。
実際には1頭1頭、その性格は違います。また生まれてから新しい家族ところへ
巣立つまでの暮らし方、そして新しい家族のところでの生活などによって、
その性格は大きく変わってきます。
子犬を選ぶ際は、見た目の可愛らしさだけでなく、ご自分のライフスタイルに合った
性格の子犬かどうか、そんなところにも目を向けることが大切ではないかと思います。
見た目は、迎えてしまえば可愛いわが子になれますが、ライフスタイルに合わない性格
の子と暮らすのは意外と大変なものです。
10年以上も一緒に暮らす家族です。
お互いがハッピーに暮らすためにも、性格は重要な条件の1つなのではないでしょうか。
●毛質によるお手入れの違い
毛質による違いは性格だけではありません。
持っている被毛の特徴が違うわけですから、当然そのお手入れ方法も違ってきます。
ここでは、それぞれの毛質によるお手入れ方法の違いを見てみましょう。
◎スムースヘアー
特にトリミングを必要とする場所もなく、他の毛質のダックスフンドに比べると
格段にお手入れが楽です。
定期的にシャンプーをするほかは、蒸しタオルなどで拭くだけで十分清潔さを
保つことができます。
より美しい艶のあるコートを目指すならば、艶出しスプレーと獣毛のブラシなどを使って、
強めにブラッシングをしてあげましょう。
◎ロングヘアー
さらさらの長い毛が特徴のロングヘアーですから、
やはりこまめにブラッシングをしてあげる必要があります。
ブラッシングをする際は、摩擦や静電気でコートをいためないよう、
ブラッシングスプレーを軽くかけてから行います。
特に耳の飾り毛は毛玉になりやすく、また大変切れやすい部分でもありますので、
コームを使って丁寧にとかしてあげましょう。
脚回りの毛も伸びてきますので、安全なバリカンなどを使用して、
パットからはみ出している毛は切ってあげます。
また、脚先の上の部分にも産毛のような柔らかい毛が伸びてくることがあります。
これはこのままにしておくと、全体的な美しさを損ねてしまうので、
指先でつまんで抜いてしまうと良いでしょう。
◎ワイヤーヘアー
とにかく硬くてゴワゴワの毛が特徴のワイヤーヘアーのダックスフンドは、
お手入れ方法もテリアと同じと考えてください。
硬い毛を保つためには、定期的なストリッピング(毛を抜く作業)が必要で、
それを怠ると皮膚にも悪い影響が出てしまうことがあります。
また全体的なスタイルも、人間の手によるカットが必要なので、
やはりプロのトリマーさんにお願いするのが1番でしょう。
自宅でシャンプーをする場合、毛を柔らかくしないために、リンスはしないか、
テリア用のコートを硬く仕上げるタイプのものを使います。
リンスをしない場合は、シャンプーのすすぎ残りがあると、
コートだけでなく皮膚のトラブルを起こす原因にもなりますので、
低刺激のものを使用し、しっかりと流すように注意しましょう。